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出荷しない理由

幹部がタマユタカの契約産地に出張して、なぜ契約農家が出荷しないのか状況を報告してくれた。以下のようなことらしい;

(1) サツマイモの農家価格が例年より上がっている(理由は不明)

(2) その結果Matoborwaの価格より、仲買人の価格が良くなった

(3) 一方、弊社のフィールドマンは相場の値上がりを知っていた

(4) しかし日本にいる私に、値上げを言い出せなかった

(5) 契約農家からは、価格の見直しを要求されていたが、返事をなかった

(6) すでに収穫した農家には、収穫の当日まで値段について言わなかった

(7) そして収穫してトラックに積んでから、値段が据え置きであることを伝えた

(8) フィールドマンのこの対応が不誠実であると、他の契約農家は不満をもった

(9) その結果、連絡がつかなくなったり、他の業者に売ることを検討している

…というような状況らしい。サツマイモの市場価格は別途に確認しているけど、特に値上がりはしていない。だから、すこし疑問は残る。でも仮に報告が本当なら、契約農家に対して不誠実だと思う。

弊社のフィールドマンは、買い付けの経験が豊富だ。良い意味でも悪い意味でも。だから(6)(7)は、いかにも彼がやりそうだと思った。もちろん弊社では、そういうやりかたで農家から買ってはいけないと、彼も理解している。とはいえ他に思いつかなかったのだろう。厳しい資金繰りのなかで、トラックを借りたことも知っている。荷台がカラでは帰れないと思ったのかもしれない。

以上の報告を受け、その地域の農家からの買取価格を聞い、遜色ない価格に設定しなおし、フィールドマンに契約農家に価格の見直しを伝えるように指示した。干しいもの原価計算をした限り、どうにか飲める程度の値上がりだった。

同時にフィールドマンに、すでに支払いを済ませた契約農家にも、価格の見直しを伝えて差額を支払うように指示する。同時にフィールドマンの教育、契約農家とのコミュニケーションのありかた、契約価格が市場価格より低くなった場合の対応、こういう事態を未然に防ぐためにはどうしたらいいのか…いろいろ考えた。

なによりも「市場価格より下がっても、契約価格を守って出荷してくれた農家がいた」ということが、私には驚きだった。1人は幹線道路沿いの産地の農家で、売ろうと思えば簡単によそに売れる人だ。もう1人は僻地の産地の好々爺で、クラウドファンディングにもにコメントをくれた組合長だ。

そしてタンザニアに戻ったら、この2人に会いに行きたい。私たちは栽培契約を結ぶ。けど、それは農家が安心するために結ぶもので、相手を縛れるとは思ってない。そんな紙切れに頼らず、どうしたら農家の「気持ち」を掴めるのか…それが知りたい。

例えば産地に、Matoborwaの倉庫があればどうだろう?倉庫が村内にあって、農家はいつでもイモを出荷できる…という安心感は大切だ。それに、私たちが目指しているものは農家に伝わっているだろうか?やるべきことは、たくさんある。

コメント (1)
  1. より:

    信用ほど高いものはないと思います。
    倉庫は安心を与えるでしょうが、信用は与えないと思います。信用を得てから次は倉庫、が良いように思います。
    何も言わずに出荷してくれた2軒の人は、信用を基にした長期的な取り引きが最も利益を生む事を理解してるのだと思います。過半数の契約農家がそう思ったときが倉庫を建てる時ではないでしょうか。その前に倉庫を建てると盗難掠奪横流し等の心配はつきませんが、大多数の契約者と信頼で繋がれば彼らが守ってくれると思います。
    契約を守ることが自分達の未来の利益を守ることと同義だという共通認識が生まれれば、心配ごとは減ると思います。
    契約や信頼という概念が根付いてない場所かと思っていましたが、少なくとも一部は理解しているようなので、あとはその人数を増やせば良いと思います。

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